「医学博士」の誤解

健康食品や健康器具の通信販売の広告を見いていると、時々「医学博士が監修」とか「医学博士も推奨」といった文言を目にします。こうした広告は、おそらく消費者が「医学博士=医師」と受け取り、「お医者さんが監修、推薦しているのであれば安心だ」と思うことを企図しているのだろうと考えられます。

嘘や誇大でない限りはこうした広告自体を問題だと指摘することはできないのですが、やはり消費者の誤解に期待した商法である点では、あまり好きにはなれません。こうした広告が企図される背景として、多くの消費者が以下の2点を誤解しているのではないかと思うのです。

1.「医学博士」というのは医師であるはず。

2.医師が監修なり推奨しているのだから、医学的に確かなものであるはず。

一点目に関して言えば、「医学博士」の学位を持っているからといって、必ずしも医師であるとは限りません。薬学や生化学、あるいはスポーツ科学といった分野の研究であっても、その医学的効用などに関する業績に対して医学博士の学位が授与されることはあるのです。したがって、医学博士であっても医師ではないという人は一定数存在します。

二点目についても、注意が必要です(強いて言えば、こちらはより注意が必要)。医師であっても、標準的な医学の理論から逸脱し、学界でまったく認知されていないトンデモ理論を主張する人が少なからずます。そういう医師が推奨しているからといって、医学的に広く認知されているものであるかどうかは保証がないのです。

という訳で、「医学博士」の監修や推奨する商品というのは、真正面から受け入れずかなり怪しい姿勢で見極めた方がよいと私は常々思っています。

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